『メグジット』を国民はどう思っているのか
ヘンリー(ハリー)王子とメーガン妃(Harry & Meghan)の王室離脱宣言は、ブリグジットにかけてメグジット(またはメーグジット、Megxit)と呼ばれています。
生まれながらの王族であるハリーでなくメーガンの名前が使われていることには、国民もメディアも「メーガンがハリーを動かしている」と認識していることが見え隠れしているようです。
メーガンは「女性が生きる自由」を実現しているだけなのか、ただの「我慢できない女」であるだけなのか。
前代未聞の行動には、女性の生き方、イギリスとアメリカの違い、イギリス王室の立場などを考えさせられます。
イギリス国民の世論をまとめつつ、この騒動の印象や感想を述べてみたいと思います。
王室に嫁いでから離脱まで、約1年8ヶ月。短かったロイヤル生活
ハリーとメーガンのフェアリーテイルのような結婚式があったのは、2018年5月19日。
アメリカ人の牧師さんを招いたり、ゴスペルを演奏したり、不参加だった実の父親の代わりにチャールズ皇太子が新婦とヴァージン・ロードを歩いたりと、メーガンのために気配りがされた式という印象でした。
(参考記事)ヘンリー王子&メーガンの結婚式直前リポート
約1年後の2019年5月6日には第一子となるアーチーくんも誕生。パパそっくりのアーチーくんは可愛らしく、たくさんの祝福を受けていましたね。
Here’s a beautiful photo of Archie with daddy. ❤️ pic.twitter.com/lGniZsvJWl
— The Duke and Duchess of Sussex (@PHarry_Meghan) December 31, 2019
王室に入ったのだから窮屈なことはたくさんあるだろうけど、おおむね幸せにやっているように見えたものです。
ところが、ハリーとメーガンにとっては辛いことがたくさんあり、アーチーくんにとっても将来的に良くないから、王室を出ることにしたとか…。
彼らの人生は彼らのもの。しかし、やり方がまずすぎた!
それを聞いた人々の声は賛否両論ですが、彼らが王室を出て行くこと自体は「彼らの自由」と支持する意見が多いようです。
肯定派からは、「彼らはもっと思いのままに生きるべき。王室は彼らを窒息させてしまう」「ダイアナ妃のような悲劇を繰り返さないためにも、離脱は正しい選択」といった意見が見られました。
反対派、否定派は「あれだけ税金を使って住宅を改装したのに」「王族を辞めると言いながら、ロイヤルの名前で商売しようとしている」と文句を言っています。
何より、一方的にネットで告知し、メーガンはとっととアーチーくんを置いてきたカナダへ去るというやり方が、女王に対して非情かつ失礼すぎることが大問題なのです…!
デイリー・メールによる調査では、71%の国民が「ハリーとメーガンは王室と女王に対してひどい扱いをした」と感じたという結果が出ています。
参照記事 https://www.standard.co.uk/news/uk/harry-meghan-security-tax-payer-a4331916.html
2019年は高齢の女王にとって辛い一年だった
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エリザベス女王にとって、2019年は夫・フィリップ殿下の自動車事故、息子・アンドリュー王子のスキャンダルと、厳しいことの多い一年でした。
25歳で女王になってから一途に公務に捧げてきた生涯。それなのに、いつも家族に苦労させられている「真面目な長女キャラ」という感じのこの方も、いまや御年93歳。
こんな年齢のおばあちゃんが「大変な年だった」と発言した直後のタイミングでの「離脱宣言」。
実の孫からの、まさかの鬼のような仕打ち…!(´゚д゚`)
今、やる必要ある!?と思ったイギリス国民は多かったことと思います。
しかも、「これからも女王を全面的にサポートしたい」とのハリーからの謎の発言。
「いやいやいや、サポートしなきゃならないのは、今でしょ!?何を心労を増やしてんねん!」
と外国人である私ですらツッコミを入れてしまいました。
もう少し我慢できたよね?
ハリーによる最近の会見では、「国を愛していることに変わりはない。しかし王室からは希望の仕事が得られない。他に選択肢がなかった」と沈痛な面持ちが際立ちました。
対して、カナダで笑顔ばっちりの生き生きとした姿を見せ、許可なく散歩中の写真を撮ったメディアにはさっそく「訴えるぞ」と抗議するなど、王室の枠が取れてのびのびしているメーガン(まだ王族ではあるため、散歩中もイギリス王室とカナダ警察に守られてますけどね…)。
二人がRoyal Sussexの名前で物品やチャリティを商標登録の申請をしていたり、ウェブサイトを作っていたりと、前から準備していたのも違和感たっぷりでした。
0才児を抱えてこれだけの計画ができるくらい元気なら、もう少し時期を待って、女王たち王室メンバーと話しあう余裕があったのでは…?
メーガンにもう少し思いやりがあったら、今は我慢して、女王が退位するまで離脱を待つのではないでしょうか(チャールズ皇太子が王様の時代なら違うような。ハリーとしてもチャールズ皇太子とカミラ夫人に仕えるのは複雑かもしれないし、何となく納得できます)。
私がチャールズ皇太子やウィリアム王子だったら、いや一般のイギリス人であっても、「うちのばーちゃんに(うちの女王様に)何しとるんじゃ!」と、ハリーとメーガンに大激怒するでしょう。
トラブルメーカーのハリーとメーガンが離脱してくれた方が、実は王室も安心?
こんなひどい扱いを受けた女王ですが、この事態にあたって出した声明は度量の広さを感じさせるものでした。
(こちらの記事にも書きましたので、よろしければどうぞ→さよならヘンリー&メーガン。王室離脱の最新情報まとめ)
女王の寛容さを示しつつ、彼らの王族としてのポジションにはしっかり一線を引き、国民からの反発が強い住宅(フロッグモア・コテージ)の改装費は返還させるなど、短い間に上手な対応を考えたな、と感心したものです。
一見綺麗なブレークですが、そこは簡単に本音を見せない英国王室のこと。
隠された真意を読みとりたくなるのが人情というものです…(ΦωΦ)フフフ…!
王室もスリム化ができて万々歳?
王室と言えど国民感情を無視できない昨今、庶民化が進んでいますよね。
特に、若いウィリアム王子とキャサリン妃は移動にローコストキャリアを使ったり、電車に乗ったり、衣装を使いまわしたりと、国民に寄った姿勢を見せています。
余談ですが、先日はスウェーデン王室が国王の孫5人を除名し、公金からの補助を削減するスリム化を実施していましたね。
参照記事; BBC News Japan
こんな世の風潮をどこ吹く風と、ホリデーやドレス代に(国民からすれば)浪費にしか見えない出費を繰り返していたハリーとメーガン。いくらチャリティに熱心でも、一方でセレブ生活を満喫する姿を見せつけられれば、庶民としては違和感を感じずにはいられません。
「環境のために子供は2人までにする」などと発言しつつ、環境負荷の高いプライベートジェットを短期間に何度も利用するような「言ってることとやってることが違う」点も、彼らの好感度を下げていたと思います。
騒動前の政府の調査(YouGov)では、キャサリン妃を好きと言う人は76%いたのに対して、メーガンは55%(騒動勃発後はなんと38%まで急落!)。
国民からの支持を得られないメーガンと、若い頃素行不良だったハリー夫妻は、今後の王室にとっての不安材料だったのではないでしょうか。
そう考えると、彼らが時間をかけて女王や他の王室シニアメンバーと話し合い、最善策を練ったうえでの離脱であれば、両者とも幸せな形でのブレークになった可能性があります。
メーガン・マークルの言い分は「自由」か「わがまま」か
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出産後まもなくメーガンは「誰も私に『(私が)大丈夫?』とは聞いてくれなかった』と悲しそうに発言しています。
海外での出産・育児が大変であることは分かります。キャサリン妃と違ってがっつり実家の支援があったわけではないですし、金遣いなどに関してメディアからの風当たりも強かったですし。
でも、彼女には家事をしてくれるスタッフがおり、育児を手伝ってくれるナニーがおり、「おめでとう!」と言ってくれる人たちが山のようにいる。
海外と言っても、母国語の英語が通じるイギリス。
たまには「公務」という理由で、おしゃれをして赤ん坊を置いて外出できる。
企業戦士と比べ、家族との時間を長くとれる夫がそばにいて、しかも経済的な心配は一切なし。
時にはプライベートジェットに乗って、週単位で豪華リゾートに行けちゃう!
クリスマスは義実家のお誘いを断って、実家のママと6週間のホリデー!
……、
……すみません、
庶民のひがみかもしれませんが、メーガンの「大変」はわがままプリンセスの泣き言としか思えません。
「経済的に自立したい」というのも立派ですが、背景には、
「税金を使っているから文句言われるんでしょ?じゃあ、自分で稼いだら好きなように使って良いのよね!」という気持ちが透けて見えます。
チャリティ活動を頑張りたいなら、王室にいても出来ます(というか、それが仕事の一貫ですし)。
でも内容は好きなものを選べない(公人ですから当然です)うえに、稼げない=好きに行動できないという図式が、自立した女性であるメーガンの中で、不満として大きく膨れ上がってしまったのでしょう。
英国プリンスと結婚した時点で間違っていたのでしょうが、そこで「私は間違ってない」とばかりに、夫の人生から変えてしまうというのは、良くも悪くも強い女性ですね。
それでもメーガンとヘンリーが王室に留まるべきだった理由
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今回の騒動について、どうしても気持ちがささくれだってしまうのは、メーガンとハリーのやり方に人の気持ちを顧みない面が見られたこと。
あれだけ歓迎してもらい、祝福されたのに不満ばかりあげつらっていること。
メディアや世論はメーガンを持ち上げたり非難したり、勝手なものです。時には差別的な発言をしたりすることもあったかもしれません。
差別は存在するものです。あってはならないことであり、私達全員が立ち向かわなかればならないことですが、確かに存在するものです。
自分が差別にあった時、怒りや悔しさ、悲しさなどの感情が湧いてくるのは当然。
でも、そこから逃げ出して、遠くから文句を言うメーガンの対応は間違っていると思います。
差別してくる人との戦いは「相手を打ち負かすこと」を目的としても、まずうまく行きません。
賢く動くなら、相手の懐に飛び込んで心を開かせるのが一番でしょう。
しかし、そんなに上手に立ち回れなくても、「逃げずに踏ん張る」ことって、絶対必要なのです。
勝たなくて良いんです。でも、負けたり逃げたりしちゃ、ダメなんです。
堂々と真っすぐ立って「私は私のまま、ここで行きていく権利がある」と主張すること。
公人となったメーガンには、そんな姿勢を見せてほしかった。
差別されてると感じたら、いくらでも声を上げたら良いんです。ダイアナ妃の時代と違って今は声を上げる方法はたくさんあり、共感してくれる人も大勢います。
それにプリンセスが王室の中から発言することで、少しずつトップから変わっていくはず。彼女にはその力があり、私のようにそれを期待していた人間も大勢いたのです。
しかし、彼女がとっとと逃げたことで肩透かしを喰らいました。
もともとの反対派からも「やっぱり、あの人は王室にそぐわなかった」と言われるだけで、差別問題や王室周辺の閉鎖性の問題は棚上げになってしまうでしょう。
メーガンにとっては「私には関係ないわ」という話でしょうが、夫となる人の家族から歓迎して受け入れてもらった人間として、あまりにも乱暴な対応に思えます。
強い影響力のある公人として(メーガンはもちろん自覚していますよね)、無責任でもありますよね。
ハリーとメーガンのこれからはどうなる?
メーガンはさっそく最初のインタビューを、自分で厳選したメディアと契約しました(ディズニーと契約したという噂が飛び交っていますが、これは事実であってもまだ決まってないでしょう…)。
ハリーは予定されていたウィリアム王子主催のレセプションをすっぽかして、カナダへ飛びました。
しかし、歓迎していると見られたカナダ国民も「税金を使って彼らの警護をするのは反対」としごく当然な声を上げています。
ハリーの学歴ではカナダの在留許可を取れない、なんてちょっと意地悪な記事も出ています。
今まで王族として守られていた部分も、これから2人は自分たちだけで戦っていかなくてはいけません。
こういった今後の問題や展望も、追っていきたいと思います!